中西名誉園長のコラム第17回 名誉園長おススメの植物&スポット[その11] リュウゼツランの仲間

本園には日本の植物園では最も広いと思われる多肉植物区があります。ここにはいろいろな種類のリュウゼツランの仲間が植栽されています。今回はこれを紹介しましょう。リュウゼツランの仲間、すなわちリュウゼツラン属(Agave)はかつてはユリ科やヒガンバナ科、さらにリュウゼツラン科とされていましたが、新しい分類体系ではキジカクシ科に属します。この属はしばしば日本名でもアガベと呼ばれるようになりました。世界に200種余りあり、メキシコを中心に、アメリカ南西部から中南米の熱帯域に分布します。大部分の種は、葉が広線形で、先が尖り、縁にトゲがあり、多肉質をしています。また、茎はあまり発達せず、根元から葉が広がり、大きなロゼット型になります。花は咲くまで数十年かかり、花が咲くと、株は枯れてしまいます。

1.アオノリュウゼツラン(Agave americana L.)とリュウゼツラン(図1)

リュウゼツラン(竜舌蘭)は縦に黄白色の斑が入った品種で、これが日本に最初に導入され、後に入った斑のないものをアオノリュウゼツランと言うようになりました。アオノリュウゼツランの葉は狭披針または広線形、長さ約1.3m、幅15cm、灰緑色、葉質は厚く、鋸歯があり、先端は長さ1.5~2cmのトゲがあります。寒さに強く各地に植栽され、数十年たったものは7~8mの花茎を伸ばし、薄黄色の花を多数咲かせます。花が咲くとしばしば新聞の記事として紹介されますが、それほど珍しいものではありません。本園では多くの個体がありますので、毎年のように花を見ることができます。英名をセンチュリープラントと言いますが、百年に一度花が咲くと考えられたからでしょう。

図1.リュウゼツラン(手前)とアオノリュウゼツラン(奥)
図1.リュウゼツラン(手前)とアオノリュウゼツラン(奥)

 

2.アガベ・アテヌアタ(Agave attenuate Salm-Dyck):初緑(ハツミドリ)(図2)

アガべには珍しくトゲがなく、葉は柔らかい。また、幹が発達し、その先に粉白色を帯びた薄緑色の葉を周囲に広げます。2015年から2016年にかけて長い穂状の花序を出し、多数の薄黄色の花を咲かせました。花序は重く、最初は上向きに伸びますが、しだいに上の方から下向きに垂れ下がります。英名では「白鳥の首」とか「ライオンの尾」などと呼ばれます。

アガベの中では寒さに弱く、2016年の大寒波では葉が凍傷になってしまいました。最低気温は0℃ぐらいが限度でしょう。

図2.アガベ・アテヌアタ
図2.アガベ・アテヌアタ

 

3.アガエ・サルミアナ(Agave salmiana Otto ex Salm-Dyck):万歳楽(マンザイラク)(図3)

巨大アガベとして知られ、よく成長すると4mにもなるそうです。当園には3株があり、アオノリュウゼツランとそっくりに見えます。しかし、葉の幅はアオノリュウゼツランよりも幅広く、葉の中部よりもやや上の部分が幅広く、22cmとなり、葉の先端部近くはトゲがなくなります。また、葉は反り返るように広がります。当園のものはまだそれほど大きくはなく、はっきりした特徴が出ていません。

図3.アガベ・サルミナ
図3.アガベ・サルミナ

 

4.斑入りアガベ・デスメチアナ(Agave desmetiana “Variegata”)(図4)

 中型のアガベで、葉の両縁は淡黄色の斑が入っています。葉は長さ40~70cm、幅4~9cm、葉質は厚く、柔らかい。若い時には細かい鋸歯がありますが、後になくなります。先端には長さ1.5~2.5cmの鋭いトゲがあります。当園には多くの個体があり、毎年のように高さ約3mの花茎を出し、花を咲かせます。寒さには弱く、0℃以下では葉が凍傷になります。

図4.アガベ・デスメチアナ
図4.アガベ・デスメチアナ

 

5.乱れ雪(ミダレユキ):アガベ・フィリフェラ(Agave filifera Salm-Dyck)(図5)

中型のアガベで、高さ50~70cmになります。葉が細く線形で、幅2~3cm、長さ約25cm、葉縁が裂け、白い繊維状になります。当園には10株以上が野外に栽培されており、時々開花した個体を見ることができます。2014年には白い繊維を欠く品種が咲きました。夏から花径を出し、10月には3.4mにも伸び、多数の花を咲かせました。結実率もよく、黒くて扁平な種子がたくさん取れ、発芽率も高いです。

図5.乱れ雪(アガベ・フィリフェラ)とその花
図5.乱れ雪(アガベ・フィリフェラ)とその花

 

6.吹上(フキアゲ):アガベ・ストリアタ(Agave striata Zucc.)(図6)

メキシコ原産の中型のアガベで、目立ちませんが短い茎ができ、高さ70~100cmになります。葉は硬い針状で、長さ50~60cm、幅は基部が一番広く約1.5cm、先端は次第に細くなります。葉の数はひじょうに多く、1株で100~200本ほどになります。葉の先端は長さ1.5~2cmの濃褐色の鋭いトゲになっていますので、周辺の草取りなどをする時には注意が必要です。英名をhedgehog(ハリネズミ)と呼ぶのもうなづけます。本園には多くの個体がありますので、花は時々見ることができます。2015年には6月頃から花穂が伸び始めました(図5)。 本種は細い葉が多数でており、姿が美しいので、園芸店でも人気の植物です。小さく鉢植えで育てられたものが販売されています。さらにコンパクトな「姫吹上」と言う園芸種も売られるようになりました。

図6.吹上(アガベ・ストリアタ)とその花
図6.吹上(アガベ・ストリアタ)とその花