第16回 名誉園長おススメの植物&スポット [その10]花が美しいノウゼンカズラ科の花木

ノウゼンカズラ科の植物は、主に熱帯や亜熱帯に分布する木本植物で、花は筒状または漏斗状で、大きく美しい花が咲きます。夏にオレンジ色の花を咲かせるノウゼンカズラは庭木としてよく栽培されていますので、見たことがあるでしょう。これは中国原産で古くから寺院などに栽培されてきました。この仲間では珍しく温帯性の植物です。ノウゼンカズラ科の植物は、熱帯花木として公園や街路樹として植えられるものが多く、熱帯にある都市に行けば必ず目にすることができます。世界の三大熱帯花木のうち、ジャガランダ、カエンボクの2つがノウゼンカズラ科の植物ですし、イペーはブルジルの国花となっているくらいです。当植物園の中には多くのノウゼンカズラ科の植物が野外で植栽されています。

 

 

1.ヒメノウゼンカズラTecoma capensis (Thunb.) Lindl.(図1)

南・東アフリカ原産のややつる性の低木で高さ2~3mになります。花は細い漏斗状橙赤色で、耐寒性に強く、ほぼ年中花が見られます。当植物園では門から入ってすぐの右側の道路に沿っても植えられていますので、海を背景に群生したヒメノウゼンカズラの花を楽しむことができます。

図1.ヒメノウゼンカズラ
図1.ヒメノウゼンカズラ


 

2.カエンカズラPyrostegia venusta Miers(図2)

ブラジル南部からパラグアイ原産の木性のつる植物です。花は橙色で、細い筒状花で、1つの花序に15~20個咲きますので、満開の時には株全体が花で被われます。当植物園では多肉植物区の海側のキューイフルーツのあるトンネルや、ハーブ園の前にあり、4月初旬から咲き始めます。

図2.カエンカズラ
図2.カエンカズラ

 

 

3.キバナイペー(コガネノウゼン)Tabebuia chrysotricha (Mart. ex DC.) Standley (図3)

ブラジル~コロンビア原産の中高木で、花は枝先に8~10個集まって咲き、6~7cmと大型で、鮮黄色の美しい花です。葉の展開に先駆けて4月中旬から咲きはじめます。葉は掌状複葉で、褐色の毛が生えています。当植物園ではハイビスカスハウスから多肉植物区に行く途中の左側に多く植えられています。果実は円筒形で、長さ20~35cmで下垂します。種子で容易に繁殖し、園内各地に芽生えているのが観察されます。

 

図3.キバナイペー
図3.キバナイペー

 

4.ジャガランダ(シウンボク:紫雲木)Jacaranda mimosifolia D. Don (図4)

ブラジル南部原産の落葉高木で、大きくなると枝を傘状に広げます。葉は花が咲いた後で出てきます。2回羽状複葉で、ネムノキに似ていますが、それより小葉はさらに細かく分かれます。初夏に薄紫色の美しい花をたくさん咲かせます。キリの花に似ていることから、キリモドキとも呼ばれます。熱帯の都市にはよく植栽されており、世界三大花木の一つとなっていますが、最近は南日本でも植栽されるようになりました。当植物園ではあちこちに植えられています。

図4.ジャガランダ
図4.ジャガランダ

 

 

5.イペー(モモイロイペー)Tabebuia impetiginosa (Mart. ex DC.) Toledo(図5)

南アメリカ原産の落葉中高木で、花序は頂生、長さ12~14cmで、葉に先立って多数の桃色の花を咲かせます。葉は掌状複葉で、無毛、わずかに鋸歯があります。果実は線形で長さ30~35cmで下垂します。当植物園ではハイビスカスハウスから多肉植物区に行く途中の左側のキバナイペーの先に植えられています。

図5.イペー
図5.イペー

 

 

 

6.タチノウゼン(キバナテコマ)Tecoma stans (L.) H.B. & K.(図6)

フロリダ~南アメリカ原産の落葉低木で、原産地では6mぐらいにまで成長するようですが、日本では2,3mのものしか見たことがありません。沖縄を除くと、ふつう温室内で栽培されていますが、当植物園は野外で栽培されています。寒さには弱く、ほとんど枯れそうになります。葉は奇数羽状複葉で、小葉は鋭い鋸歯があります。花は当植物園では秋から晩秋にかけて咲き、色は鮮黄色で、わずかに香りがあります。ビジターセンターからハイビスカス温室に行く途中の左側にあります。

 

図6.タチノウゼン(キバナテコマ)
図6.タチノウゼン(キバナテコマ)

 

 

7.ソケイノウゼンPandorea jasminoides Schum. (図7)

オーストラリア原産のつる性植物で、花は白から淡紅色で、中心部は濃桃色をしていますが、中心部まで白色の品種もあります。ラッパ状で、直径、長さとも5cmくらいです。葉はやや光沢がある羽状複葉で、小葉は5~9対、ナンテンに似ているのて、ナンテンソケイと呼ばれています。ソケイとは、モクセイ科ソケイ属植物のことで、ジャスミンなどの総称です。当植物園では大温室の裏にあります。

図7.ソケイノウゼン
図7.ソケイノウゼン

 

 

8.ネコノツメ Dolichandra unguis-cati (L.) Miers (図8)

中央アメリカ~南アメリカ、カリブ海原産の木性のつる植物で、乾燥林に生育します。短い気根を出し、長さ20mぐらいに伸び、他の樹木や岩壁にもはい上がります。ところどころ葉の変形した3本の爪状のとげがあり、よじ登ることができます。5月中旬から初夏にかけて、直径4~5cmの黄色の花を咲かせます。果実は茶色で、長さ25~90cm、100~200個の種子があります。当植物園では大温室の裏にあります。

図8.ネコノツメ
図8.ネコノツメ

 

 

 

 

9.アメリカノウゼンカズラ Campsis Radicans Seem. 図9

北アメリカ東南部からメキシコ原産で、大正時代の末期に渡来し、庭園などに栽培されてきましたが、ノウゼンカズラのようには一般的ではありません。ノウゼンカズラより花径は小さく、筒は長い。7~9月に鮮やかな赤橙色の花を多数咲かせます。当植物園ではハイビスカス温室に行く途中の左側にあります。

 

図9.アメリカノウゼンカズラ
図9.アメリカノウゼンカズラ

 

 

 

10.ノウゼンカズラ Campsis grandiflora (Thunb.) K. Schum(図10)

この科の植物では唯一温帯の落葉性つる植物で、中国原産です。日本へは平安時代に渡来したと言われ、古くから寺院などで栽培されてきました。花は6月下旬から8月で、ふつう橙黄色ですが、赤に近いものから黄色まであります。葉は奇数羽状複葉で、小葉には粗い鋸歯があります。気根を出し、他のものに付着してよじ登ります。当植物園では少し見つけにくいのですが、ビジターセンターの裏の崖地に生育しています。

 

図10.ノウゼンカズラ
図10.ノウゼンカズラ

 

 

 

11.カエンボクSpathodea campanulata Beauv. (図11)

 

熱帯アフリカ西部原産の高木で、径5cm余りの鐘状で、橙赤色の目立った花を上向きに咲かせます。橙黄色の品種もあります。その花の形から英名でアフリカンチューリップツリーとか、単にチューリップツリー言われています。寒さに弱いので、当園では大温室に栽培されていますが、沖縄では街路樹や公園などに植えられています。種子は薄い翼を持ち、風によって散布されますので、熱帯では荒地などにいち早く侵入します。成長も早く、大木になるため、世界の侵略的外来種ワースト100に指定されているほどです。フィージに行った時も、遠くからみるとりっぱな自然林かと思いましたが、近づいてみるとすべてカエンボクの大木でした。亜熱帯の沖縄では成長はそれほど良くはなく、広がることもないようです。

 

図11.カエンボク
図11.カエンボク