中西名誉園長のコラム 第13回 名誉園長おススメの植物&スポット【その8】ソテツとザミア

 長崎県亜熱帯植物園は広く、よく利用される遊歩道沿い以外にも興味深い植物があります。中にはあまりスタッフも知らないような珍しい植物もあります。そんな植物も含めて、名誉園長おススメの植物を紹介しましょう。植物園を訪れた時には、是非探してみてください。

ソテツとザミア

 裸子植物は中生代に栄えた原始的な種子植物で、子房をもたず胚珠がむき出しになっていて、花弁を持ちません。ソテツ類、イチョウ類、針葉樹(マツ)類、グネツム類の4つのグループ(綱)に分けられますが、種数は大部分が針葉樹類です。この中で生きた化石と言われるソテツ類について紹介しましょう。
 ソテツ類は熱帯・亜熱帯に分布し、葉は羽状複葉で、茎の先端に輪生状につき、一見ヤシと似ていますが、茎は太く、長く伸長することはありません。雌雄異株で、雄株か雌株かは花序ができると簡単に見分けがつきます。ソテツ類の代表的なものはソテツ科とザミア科です。当園にはソテツ科のソテツと、ザミア科のホソバウロコザミアとヒロハザミアが見られます。
 ソテツ類はイチョウ類と共に原始的な裸子植物です。ご存知の人もいると思いますが、イチョウは種子植物の中で、1896年に日本人によって最初に精子が発見されました。その翌年には同じく日本人によってソテツでも精子が発見され、同じ年にアメリカでザミアからも発見されました。これらの植物は、花粉が飛んで行って雌株の胚珠に到達し、花粉管が伸びて、その中に2つの精子ができるのです。

ソテツ Cycas revolutaThunb. (ソテツ科)

 琉球列島から鹿児島県と宮崎県に分布し、長崎県でも五島市と平戸市に県の天然記念物に指定された群落がありますが、自生かどうか疑問です。古くからお寺や学校に栽培されており、やはり大きな株が天然記念物となっているものもいくつかあります。身近にも植えられたものがありますので、皆さんご存知でしょう。自生地は海岸の岩場や崖地です。本園では芝生広場の縁に多く植えられており、雄株も雌株も両方が植えられておりますので、花穂伸びる夏ごろに比較してみてください。花穂がまっすぐに伸びるのが雄株で(図1)、雌株の花穂は半球形になります(図2)。雌株にはやがて朱色の種子がたくさんできます。こんなに目立つ色になるのは、動物に散布してもらうためでしょうか。その色の役割はよくわかっていません。
 葉は羽状複葉で、葉は硬く、先端は鋭く尖り、触ると痛いほどです。ソテツとは蘇鉄と書き、鉄を受けると蘇る(よみがえる)と言われ、茎にクギや針をさすことが行われていました。

 クロマダラソテツシジミ Chilades pandava(シジミチョウの一種)の幼虫はソテツを食害することが知られ、最近になって当園のソテツにも被害が見られるようになりました。この昆虫は、本来熱帯アジアに分布し、1992年に沖縄で発見され、しだいに北上してきたものです。

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図1. ソテツの雄株i20140906-21
図2. ソテツの雌株

ホソバウロコザミア Lepidozamia peroffskyana Regel (ザミア科)

 オーストラリア東部原産。現地では大きなものは茎が高さ6~7mに伸びるそうですが、本園のものは高さ2mぐらいで、ソテツに似ています。球果はマツカサを大きくしたような形をしており、卵形で、長さ80cm、幅30cmほどにもなります(図3)。本園ではカスケードの下部、大温室の前に雌雄合わせて6株が植えられております。夏過ぎには大きな球果が実りますので、是非ご覧ください。もちろんこの球果ができる株が雌株です。雄株は7月ごろの円錐形の大きな花穂を伸ばします(図4)。

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図3. ホソバウロコザミアの雌株i20140906-4
図4. ホソバウロコザミアの雄株

ヒロハザミア Zamia pumila L. (ザミア科)

 メキシコ原産で、日本では単にザミアとして知られています。この仲間では小さく、茎は長さ50cm以下ですので、観賞用に鉢植えにされます。乾燥に強く、栽培も簡単ですので、最近になってよく見かけるようになりました。当園ではビジターセンターの入り口や大温室の入り口などに鉢植えにしたものが置かれています。栽培は簡単ですが、冬期には屋外では難しく、室内に入れる必要があります。
 葉は羽状複葉ですが、小葉は他のソテツやザミアと違い幅広く、倒卵形をしており、革質で、葉裏は黄土色がかっています。成長が遅く、なんとなくユーモラスでかわいい姿をしています(図5)。

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図5. ヒロハザミア