中西名誉園長のコラム 第12回 海岸漂着物展によせて

海岸漂着物展

 長崎県は海岸線が長く、沿岸を対馬暖流が流れていますので、東南アジアなどの熱帯海域からさまざまな漂流物が流れてきます。また、大陸に近いため韓国や中国のものも流れてきます。それらの中には、熱帯植物の果実や種子、海産動物の死骸、漁具、日用品、産業廃棄物などさまざまなものがあります。それを展示、解説することによって海を身近に感じ取ってもらうのが「海岸漂着物展」の目的です。

 かつては夏になると、子ども達は海水浴に行ったり、臨海学校があり、海を体験することがふつうでありましたが、プールができたり、防波堤ができたりして、海に囲まれた島国であるにもかかわらず、海を体験することが少なくなってしまいました。そこで、海岸に流れ着く漂着物のおもしろさ、奥深さを知ってもらい、海岸に出かける機会をつくっていただければと思います。

  海岸の漂着物を集める趣味のことをビーチコーミングと言い、最近は、この言葉も新聞や雑誌でよく見るようになり、すっかり定着してきました。海岸を歩き、漂着物の中から自分の興味のある対象を集めることで、ハイキングと切手やコインなどの収集を兼ねたような趣味と言えます。安上がりで、健康にもよく、自然破壊にもつながらない趣味ですから、エコ時代にぴったりの趣味と言えます。ビーチコーミングを通じて、海について関心をもつことができるようになります。

  今回の展示で特徴的なことは、亜熱帯植物園ですので、海流で散布される種子を多数展示していることです。これだけ多くのマメ科のEntada(モダマ属)やMucuna(トビカズラ属)などの種子が展示されるのは、日本では初めてのことです。このような植物は種子が海流で運ばれ、分布を拡大しているのです。実際に当植物園の大温室には、熱帯海域から海流で運ばれ、長崎県で漂着発芽したオオハマボウやタシロマメを栽培しておりますし、ハマオモトやハマジンチョウ、ハマボウなどの海流散布植物も芝生広場の周囲に植えられています。

  「海岸漂着物展」をご覧になれば、漂着物のおもしろさを知ることができ、海に出かけた時には、きっと漂着物に関心が向くに違いありません。そして、改めて海に囲まれた国であることを実感することができるでしょう。

海岸漂着物展
海岸漂着物展

「海岸漂着物展」は終了しました。