中西名誉園長のコラム 第10回 名誉園長おススメの植物【その6】ガジュマル・インドゴムノキ(クワ科)の仲間

 長崎県亜熱帯植物園は広く、よく利用される遊歩道沿い以外にも興味深い植物があります。中にはあまりスタッフも知らないような珍しい植物もあります。そんな植物も含めて、名誉園長おススメの植物を紹介しましょう。植物園を訪れた時には、是非探してみてください。

ガジュマル・インドゴムノキ(クワ科)の仲間

 カジュマルもインドゴムノキもクワ科イチジク(Ficus)属の植物ですが、この仲間で高木となるのは熱帯・亜熱帯地域に限られるようで、アコウ亜属としてまとめられています。この仲間の特徴は、果実がイチジク状果と言って、イチジクの実を小さくしたような形をしていて、幹や枝に直接着きますし、枝を折ると白い液が出ます。また、気根を出したり、幹から根が出て他の木に絡みついて枯らしてしまうものもあり、「絞殺し植物」と呼ばれています。アンコールワットの遺跡に生育している植物もこの仲間です。「絞殺し植物」についてはビジターセンターに展示がありますので、ご覧ください。

 長崎県に自生しているアコウをはじめ、ガジュマル、シダレガジュマル、インドゴムノキ、オオバゴムノキ、ベンガルボダイジュが当植物園で見られます。これらは熱帯を中心に生育していますが、ベンガルボダイジュを除いて、すべて屋外で育っているのは驚きです。

1.アコウ Ficus superba var. japonica

アコウ

  九州の沿岸部に広く分布し、長崎県内には大木も多く、天然記念物に指定されている木もいくつかあります。自生北限は壱岐ですが、ここのものは植えたという説もあります。園内にも野生のものが何本かあり、すべて大きな岩の上に生育しており、この岩に絡みついて、岩をしばっているように見えます(図1)。新芽が出る春に落葉しますが、この落葉の仕方や時期は、個体によって異なり、植物にも個性があることがわかります。

2.ガジュマル Ficus microcarpa

ガジュマル

 東南アジアの熱帯から琉球列島を屋久島まで分布しています。沖縄では、学校や公園には必ずと言っていいほど目にする有名な樹木です。大木には子どもの妖怪キジムナーが棲んでいると言われています。当園では残念ながらフラワーガーデン温室の出口のそばに2本植えられていますが、日陰になると言うことで、毎年枝が切られてあまり大きくなっていません。それでも特徴的な多くの気根を出しています(図2)。

3.シダレガジュマル Ficus benjamina

シダレガジュマル

 近年ベンジャミンとしてさまざまな品種が鉢植えにされ、園芸店に売られていますので、この名前をご存知の方もおられるでしょう。ガジュマルよりも枝が細く、葉も小さいのが特徴です。それでも大きくなるとガジュマルのように多くの気根を垂らします。東南アジア原産で、横に大きく枝を張り、巨木となることで知られ、インドやネパールでは聖木の一つとされています。当園では芝生広場入口から入る遊歩道を少し下ると、左側に多くの気根を垂らしている木(図3)が数本見られます。これがシダレガジュマルで、大温室の中にもあります。

4.インドゴムノキ Ficus elastica

インドゴムノキ

 かつてゴムノキとよばれ、観葉植物の代表的なものとしてはやったことがありました。和名のようにインドとビルマ原産で、葉は大きく、光沢があります。園芸化され、いくつかの品種が観葉植物として利用されていますが、冬の寒さには少し弱いようです。長崎は温かいので、時々野外で育っているのを見ることがあります。当園では芝生広場の海側に高さ10m以上に育ったものが2本あります。胸高直径が1本は45cm、もう1本は30cmのもので、幹の途中から太い根を出しています(図4)。これだけ大きなものは沖縄以外では珍しいでしょう。大温室には斑入りの品種も見られます。

5.オオバゴムノキ Ficus macrophylla

オオバゴムノキ

 インドゴムノキに似ていますが、葉はやや丸みがあり、葉裏は少し褐色を帯びています(図5)。オーストラリアのクイーンズランド原産で、別名オーストラリアゴムノキとよばれています。遊歩道から芝生広場に入る所のアコウの反対側に大きなものがありますし、芝生広場の海側の遊歩道沿いにもあります。特に芝生広場の入り口にあるものは、根元が広がり、大変興味深い形をしていますので、是非ご覧ください。

6.ベンガルボダイジュ Ficus benghalensis

ベンガルボダイジュ

 インドとスリランカの原産で、日本ではふつう温室で栽培されています。当園にも大温室に植えられています。葉は厚く濃緑色で光沢があり、葉脈がはっきりして美しく、葉の先端が丸くなっています(図6)。インドのカルカッタ植物園には世界一大きなベンガルボダイジュがあることで有名です。1本で気根数が1,825本あり、森のように見えます。その周囲は420mもあり、世界で最も大きな樹冠をもつ木としてギネスブックにも載っています。