中西名誉園長のコラム 第7回 名誉園長おススメの植物&スポット【その4】原種のポインセチア

原種のポインセチア

 長崎県亜熱帯植物園は広く、よく利用される遊歩道沿い以外にも興味深い植物があります。中にはあまりスタッフも知らないような珍しい植物もあります。そんな植物も含めて、名誉園長おススメの植物を紹介しましょう。植物園を訪れた時には、是非探してみてください。

原種のボインセチア Euphorbia pulcherrima Willd.(トウダイグサ科)

 12月になると花屋の店先に目の覚めるような赤い苞葉(ほうよう)をつけた鉢物が並びます。これがポインセチアです。最近は八重咲き?(花びらではないので、八重咲きと言うのは正しくはない)のものや、苞葉が薄黄色のもの、水色のものなどさまざまな色や形のものがつくられています。クリスマス・フラワーとしてすっかり定着している感じです。

 この植物の本当の花は苞葉の中央にあるいくつかの壷状のものの中にあり、いくつかの花が集まって1つの壷(椀状花序あるいは壷状花序とよばれる)ができています。その壷状の側面には黄色のくちびるのようなものがついていますが、これは腺体(蜜腺の大きなもの)で、蜜を出して昆虫をおびき寄せるための器官です。

 メキシコ中西部原産の低木で、14~16世紀のアステカ文明の時代には、ポインセチアの苞葉から赤紫色の色素を取り染料に使ったり、切った時に出る白い樹液から解熱薬を作っていたそうです。アメリカの駐メキシコ大使であったポインセットが1825年に発見し、彼の名前にちなんで、ポインセチアと名付けられました。その後、アメリカやヨーロッパで品種改良が行われ、冬の花の少ない時期の鉢植えや切り花として、世界的に広がりました。日本へは明治の中頃に渡来し、赤い顔をした架空の動物ショウジョウ(猩々)を連想することから、ショウジョウボクとよばれました。

 さて、植物園にはポインセチアの原種(園芸化されていない野生種)があります。ハイビスカス温室から大温室に行く途中、遊歩道の海側の花壇に植えられています。園芸種と違って、高さは3mくらいに伸び、苞葉は少し細長く、11月中旬からだんだん赤くなり、12月になると、濃い赤色となり、園芸種とはちがった美しさがあります。ポインセチアは冬の植物として知られていますが、亜熱帯の植物ですので、冬の寒さには弱く、温室でないと冬越しはできません。しかし、当植物園は何とか冬を越してくれますが、特別に寒い冬は地上部がかなり枯れてしまいます。ポインセチアの原種でも珍しいのですが、それが野外に育っているのは全国的に大変珍しいことです。

 ポインセチアに似てずっと小型のショウジョウソウ Euphorbia heterophylla L. があります。北アメリカ原産で、栽培されることもありますが、温かい地方では海浜近くに野生化していることがあり、長崎県でも見られます。

原種のポインセチア
ポインセチアの椀状花序