中西名誉園長のコラム 第5回 名誉園長おススメの植物&スポット【その2】シロバナハカマカズラ

シロバナハマカズラ

 長崎県亜熱帯植物園は広く、よく利用される遊歩道沿い以外にも興味深い植物があります。中にはあまりスタッフも知らないような珍しい植物もあります。そんな植物も含めて、名誉園長おススメの植物を紹介しましょう。植物園を訪れた時には、是非探してみてください。

シロバナハカマカズラ(バウヒニア・グラウカ)
Bauhinia glauca (Wallich ex Bntham) Bentham(マメ科)

 フラワーガーデン温室を過ぎて、ブーゲンビリア広場を見下ろす道から、広場の右手を見ますと、大きな木に覆いかぶさっているつる植物が見られます。それがシロバナハカマカズラです。9月になると白い花が咲きますのでよくわかります。花は12月まで咲き続けます。2012年は多くの花が咲いたのですが、2013年は花着きが少し悪いようです。最初は名札もなく、この植物の名前をだれも知りませんでしたが、いろいろ文献を調べてやっとバウヒニア・グラウカであることがわかりました。東南アジアから中国南部に分布するつる性の木本植物で、マメ科ハカマカズラ属(バウヒニア)の植物です。和名がありませんでしたので、シロバナハカマカズラと言う名前をつけました。日本でシロバナハカマカズラが見られるのは当園だけでしょう。

 花は直径約3cmで、花弁は5枚、1つの花序に多くの花をつけます。果実はめったにつけませんが、2012年に1個だけつけました。果実は扁平で細長く、長さ約12cm、幅4cm余で、紅色を帯びています。

  この仲間の植物は、東南アジアに10種ほど知られ、日本ではハカマカズラ1種が分布しています。野母崎にも県の天然記念物に指定されている脇岬の弁天山樹叢に生育しています。ハカマカズラは紀伊半島南部、高知県、九州、琉球列島に分布し、九州では東海岸には分布せず、西海岸を長崎県平戸市阿値賀島まで分布する亜熱帯性の植物です。分布の北部ではいずれも本土や大きな島には生育しておらず、無人島のような小さな島に限って見られます。小さな島はまわりが海水で囲まれているため、冬でも最低気温があまり下がらないためでしょう。詳しくは名誉園長の部屋の第2回をご覧ください。

 ハカマカズラ属の植物は、葉に特徴があります。いずれの種類も葉が先端から深く切れ込んだ円い葉が特徴で、それを袴(はかま)にみたててつけられたものです。また、この仲間で、つる植物ではなく立木となるものは、花が美しいので、熱帯地方の街路樹や庭園木として知られているものがいくつかあります。当園にはムラサキソシンカ、シロバナソシンカ、オオバナソシンカがあり、園内のあちこちに植えられていますので、それらの植物も是非観察してみてください。

シロバナハマカズラ
他の木を覆って伸びるシロバナハカマカズラ