中西名誉園長のコラム 第4回 名誉園長おススメの植物&スポット【その1】マルハチ

マルハチ

 長崎県亜熱帯植物園は広く、よく利用される遊歩道沿い以外にも興味深い植物があります。中にはあまりスタッフも知らないような珍しい植物もあります。そんな植物も含めて、名誉園長おススメの植物を紹介しましょう。植物園を訪れた時には、是非探してみてください。

マルハチ Cyathea mertensiana (Kunze) Copel.(ヘゴ科)

 小笠原諸島に固有の木性シダ(幹が地上に伸びたシダ)で、一見ヘゴと似ており、私も最初は誤っていました。マルハチは幹に葉の落ちた跡が、丸に逆八の字のような模様がいつまでも残ることが特徴で、和名の語源となっています。ヘゴは葉柄の基部が残り、茎の表面を被っています。これらの木性シダは熱帯、亜熱帯地域を指標する代表的な植物です。しかし、当園には大きな個体が野外に生育しています。子供冒険広場の奥からモノレールの線路の裏側の遊歩道を進みます。途中、すぐ右側には珍しいキンギョツバキ(葉の先がいくつかに裂けてキンギョのように見える)があり、そこを過ぎて、ちょうど古代樹(模型)の裏手あたりの右上に見えます。少し階段を上がると生育地に着きます。高さ約4mに伸びたりっぱなマルハチが1本あります。実はもっと多くのマルハチが野外に植えられていたのですが、何十年間に1回訪れる特別寒い冬に耐え切れず、枯れてしまいました。この1本だけば寒さに適応し、生き残ったのです。2013年の夏は猛暑が続きましたが、それ以上に雨が少なく、このマルハチも葉を落としてしまいました。しかし、8月末から雨が多くなり、ふたたび新しい葉が伸び始め、ホッとしております。幾多の困難な環境を乗り越え、まさに根性のマルハチです。

 マルハチはヘゴ科に属し、この仲間は東南アジアに多くの種があり、そのうち日本には8種知られています。沖縄などで多く見られるのはヒカゲヘゴで、これは陽当たりのよい場所でも育ちますので、よく栽培されています。長崎県ではヘゴ1種のみが五島福江島に分布していることが知られていましたが、長崎市内にも2ヵ所、自生地が見つかっています。

 マルハチの生育している場所には、大型のシダであるリュウビンタイも4株生育しており、近いうちにここを整備してシダ園をつくろうと思っております。